水曜日の片想い
全部、全部、終わりにするんだ。
橘くんのことなんか忘れちゃえ。
クールで、毒舌で、無愛想で、良いのは所詮顔だけなんだから。
観賞用の王子様に近づいたわたしの選択が間違ってたの。
誰ひとり近づきたいなんて思わない彼に近づきすきたんだ………。
照れ屋で、不器用で、ちょっと子供っぽいところも、ふいに人をからかう悪戯も。
笑顔が素敵で、優しいところも。
知らない。
全部、知らない………。
「っ………」
だから泣くな。
あんな冷血な人のことを考えて流す涙ほど無駄なものはないでしょう?
そう無理やり思い込ませても流れる涙は止まってくれない。
忘れるどころか橘くんと過ごした眩しい日々がフラッシュバックしてくる。
まだこんなにも好きだなんて。
「橘くん……大好きっ…………」
もう、キミに伝えることはできないけど。