水曜日の片想い
「橘くんはそこに座って!」
「さっきから強引すぎだ」
「いいから座って!!」
近くの椅子に強制的に座らせ、上から見下ろすと、
やっぱり表情は変わらずに不機嫌そう。
ずっと同じ顔しかしてない。
笑った顔も見てみたいのに。
「腕出して」
「もうキミが引っ張ってる」
そして反応が毎回素っ気ない。
冷たい反応は心を抉るものがあるけど、いちいち気にして当たる場合じゃないよね。
近くにあった包帯を手に取って、腫れ上がった橘くんの手首にぐるぐると巻きつける。
冷たいし、無愛想だし、橘くんって何を考えてるのかさっぱりわかんない。
でもさ、
わたしを助けてくれた橘くんは…………?
ぐるぐると包帯を巻きながらも、助けてもらった瞬間のことが頭の中に蘇ってきた。
今思えばかなり顔も近かったし、吐息も少し掛かっていた。
近くで見るとますますかっこよかったなぁ……。
みんながなんであんなに騒いでたのかようやく理解できた気がする。