水曜日の片想い
ドンッと心臓を何かで貫かれたような感覚がした。
知ってるも何もないよ、華純。
わたしが誰よりも先に見たんだもの当然知っているに決まってる。
「日菜子って確か観賞用王子と仲良かったよね?なんか馴れ初めとか聞いてないの〜?」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる華純に正直腹が立った。
「何も知らないくせに余計なこと言わないで」という言葉がすぐそこまで出かかっている。
こんなこと言っても意味はないし、華純を傷つけるだけだってわかるよ。
だから胸の奥になんとか止めたけどいい気分はしなかった。
「知らない。別にそんな特別仲が良かったわけじゃないから……」
「そうなの?橘旭陽に英和辞典借りたとき、めちゃくちゃ嬉しそうにしてたじゃん」
「先生に怒られずに済むから嬉しかっただけだよ」
「えー、でもあの冷血男が他の誰かを気にしてるところなんか他に見たことないよ?それに日菜子と橘旭陽って一時期ちょっと噂になってたし」
「えっ、わたしと橘くんが……?」
何、その話。
初めて聞いたよ?