水曜日の片想い


「おい、包帯巻きすぎ」


「へ?」



あっ……。


1人で勝手に橘くんのことを考えていたせいで、自分の動かしている手のことなんか眼中になかった。


ふと視線を落として見たら、橘くんの手首は包帯だらけ。


巻きすぎて重そうだ。




「うわっ、あ!ごっごご、ごめんなさい」



もー、わたしのバカ!

また怒らせちゃってどうすんの?



急いで包帯をぐるぐる逆に回すが、焦ってしまって上手くできない。



「ひゃっ」


ついには手を滑らせて、包帯を床に落としてしまった。




「うわぁああ!!ごめんなさいごめんなさい………」



ほんと情けない……何やってるんだよわたしは……。



床にペタリと膝をついて、床に転がる包帯にゆっくりと手を伸ばす。


包帯すら上手く巻けないなんて………女としても人としてもダメダメすぎだよ。





「……ふ……っは……」



今にもまた泣きそうになっているわたしの頭上付近で、



「橘くん………?」


なぜか下を向いてお腹かを抱えていた。



もしかしてこれは一喝くらっちゃう展開?


なんか少しプルプルしてるし、怒りで震えてるんじゃ………。



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