水曜日の片想い
この想いが届くまで
橘くんと初めて会った日のことを今でもよく覚えている。
行き場をなくしたわたしが図書室に行くと、カウンターで本を読んでいたのが橘くんだった。
たまたま本棚を倒してしまったあのとき、面識もなかったわたしを橘くんが助けてくれた。
そして、恋に落ちたの。
「ふぅ………」
何度深呼吸を繰り返しても、胸の高鳴りはおさまってくれなかった。
心臓の音が脳内まではっきりと響いているよう。
それくらいドキドキしてうるさいの。
百合ちゃんと話を付けてから時は流れ、いよいよ放課後になった。
ついこの間までのわたしなら、すぐ家に帰るか中庭に居るかだっけど、今日は違う。
久しぶりに図書室の扉の前に立っている。