水曜日の片想い
「あ……あの……ごめーーー」
「はははっ!包帯巻くだけでこんなにテンパる人初めて見た」
「へ………?」
怒るどころか逆に爆笑している。
一瞬、何が起こったのかよくわからなくてポカーンと開いた口が戻らない。
えっ、なに?
「あー、おかしすぎて腹痛い」とお腹をおさえる橘くん。
てっきり怒ってるのかと思ってたのに………。
ずっと不機嫌そうな顔をしていた橘くんが笑ってる。
「キミって結構面白いんだな」
…………っ。
それは、
わたしの心を奪うには十分すぎるくらいの破壊力だった。
初めて見る橘くんの笑顔。
一瞬にして全てをつかまれた気がした。
ドキン、ドキンと聞き慣れない胸の鼓動がよく響く。
「…………橘くんはさ、なんで人のことすぐ無視したりするの?」
「は?」
急にこんなこと聞くのはちょっと怖いし、なに言ってんのこいつなんて思われても仕方がない。
でも、噂の真相を今すぐに知っておきたかった。
橘くんことがちゃんとわかったら、このドキドキに名前がつく気がしたの。