水曜日の片想い


「あ……あの……ごめーーー」



「はははっ!包帯巻くだけでこんなにテンパる人初めて見た」



「へ………?」


怒るどころか逆に爆笑している。

一瞬、何が起こったのかよくわからなくてポカーンと開いた口が戻らない。


えっ、なに?


「あー、おかしすぎて腹痛い」とお腹をおさえる橘くん。


てっきり怒ってるのかと思ってたのに………。


ずっと不機嫌そうな顔をしていた橘くんが笑ってる。



「キミって結構面白いんだな」



…………っ。


それは、


わたしの心を奪うには十分すぎるくらいの破壊力だった。


初めて見る橘くんの笑顔。

一瞬にして全てをつかまれた気がした。



ドキン、ドキンと聞き慣れない胸の鼓動がよく響く。




「…………橘くんはさ、なんで人のことすぐ無視したりするの?」



「は?」



急にこんなこと聞くのはちょっと怖いし、なに言ってんのこいつなんて思われても仕方がない。

でも、噂の真相を今すぐに知っておきたかった。


橘くんことがちゃんとわかったら、このドキドキに名前がつく気がしたの。


< 26 / 291 >

この作品をシェア

pagetop