水曜日の片想い


いやいや、でもそう何度も大好きな本より他のことを優先させるわけがない。

お昼だって本の近くで食べるくらいの本好きなのに、もしかして病気とか?


たしかに本が好きすぎるのは病気ともいえるけど、そういう意味じゃなくて……………。



あー、ごちゃごちゃ考えても仕方ない!

居ないなら探せばいいじゃん。


そう思い、くるりと方向転換させると、


「わっ…!」

目の前に突然現れた何か大きなものに体ごと軽くぶつかった。


「あっ、すみませーーーー」



「瀬戸?」



「えっ……」



呼吸が止まった。

時間が止まった。


居るはずのなかった人がわたしの目の前に立っていたから。

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