水曜日の片想い


きっと、これは夢だ。

誰もが憧れる王子様がわたしを好きになってくれるなんて、都合のいいわたしの夢に決まっている。


それか橘くんのことだから「騙されないなんてキミは本当につまらない人だな」って言うタチの悪い嫌がらせかもしれない。


橘くんがこんなに照れた顔をしてるのも全部演技だ。

わたしを惑わす罠に違いないよ。


「ったく、ほんと迷惑なヤツ……………」


ほら、やっぱり。

鵜呑みにしなくてよかっ…………。



「好きだ」


「ひゃっ……!」


パニックを起こしていたわたしの脳内に追い打ちをかけるかのように、強引に体を抱き寄せられた。


な、なに…………?



「信じられないなら何度でも言ってやる」


耳元に橘くんの吐息がかかる。

っう…………。


もしかして、今、抱きしめられてるの?


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