水曜日の片想い
「普段の対応のことか?無視かどうかは知らないけど、本を読んでるときは基本周りの音が聞こえないんだ」
本を読んでいるとき、か。
「まぁ、結果論だと無視してるってことになるのかもな」
「そ、そうなんだ………」
橘くんは自分の意思で無視をしていた訳ではなくて、本当に聞こえていないだけなんだ。
本が好きだから、それだけに集中しちゃうんだよ。
周りの音さえ聞こえなくなってしまうほどに。
「橘くんが集中してる間にみんな話しかけるから、無視されたって思われてるよ?」
「そうか。別にそんなのどうでもいいけど」
「ク、クールだね」
クールなのは本当みたい。
まぁ、クールな性格が1番橘くんにぴったり当てはまってると思うけども。
「あっ、それと。言うの遅くなっちゃったけど………さっきは守ってくれてありがとう」
まだ大事なことがちゃんと自分の口から言えてなかった。
「ごめんなさい」だけじゃなくて「ありがとう」も伝えなきゃ。
本当に、本当に、感謝しているから。