水曜日の片想い
カウンターから見て正面の隣、右のテーブル。
そこがわたしのいつもの席。
ちらりとカウンターに座る橘くんに視線を向けると、
「急に変なこと言うな………」
なんて言いながら本で照れた顔を隠していた。
心の中で呟いたつもりだったはずが、つい口に出してしまった。
まぁ、いっか。
橘くんの照れ顔が見れたし、なにより………。
「思ったこと言っただけだよ」
冗談でも、嘘でもなんでもない、本当のことだから。
「ストレートすぎるのもどうかと思うけど」
「いいじゃん、彼女なんだし」
「よくない」
「はぁ……」とため息を吐く橘くんの吐息がいつもより耳につく。