水曜日の片想い
カウンターでいつものように黙々と本を読んでいる橘くんの顔色をこっそり盗み見た。
うーん、無表情。
さっきまであんなに顔真っ赤にしてたのに、元に戻るの早すぎ!
そんなんだからあまり話したことがない人たちに無愛想の冷たい人、なんて噂されちゃうんだよ?
心の中で叫んでも橘くんには一切伝わらないけれど。
付き合い始めて日は浅いし、変なことを言って嫌われたくない。
両想いになったばかりの水曜日は今までの誤解を解くためにたくさん過去のことを話したけど、
正直なんだか恥ずかしくて、気まずかった。
廊下ですれ違ってもいつもと同じ挨拶くらいで、今日のこの時間がどれたけ待ち遠しかったか橘くんは知らないだろう。