水曜日の片想い


あの日をカウントしなければ、今日は両想い初の水曜日。


わたしと橘くんの特別な日だ。


あぁ……今でもあの日の橘くんの熱を思い出せるよ……。

橘くん、いい匂いだったなぁ。


唇もかなり近かったし、キスでもされちゃうんじゃないかって少しドキドキしてた。

まぁ、余計なドキドキで終わってしまったけど。


それに橘くんはキス、初めてじゃないんだよね。


花火大会で百合ちゃんと…………。


だめだ、この件に関してはちゃんと橘くんに説明してもらったじゃない。

うじうじ考えたところで過去には戻れないんだから諦めよう。



わたしが失恋してしまったと嘆いたあの花火大会。

あのときの百合ちゃんとのキスは不意打ちだったらしい。


「ずっと守ってやる」という言葉も“幼なじみ”として守るという意味だったと橘くんは言っていた。


百合ちゃんに「好き」と言われたあの時にはもう、橘くんはわたしを好きだったらしい。


だから百合ちゃんはわたしに会いに来てくれたんだなとようやくわかったの。



橘くんも、百合ちゃんも、

どちらかを責めようとは思わないけど辛かったのは事実だ。


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