水曜日の片想い
「別に……あれくらい普通……」
言い終わった後、ふいっと顔を逸らされたけどなんでなのかはすぐにわかった。
橘くん、照れてる。
耳まで真っ赤だよ。
笑顔の次は照れてるところまで見れちゃうなんて、可愛くてついつい笑っちゃう。
「ふふっ、橘くんってクールなわりにこういうときは照れ屋さんなんだね」
また橘くんの新しい一面が見れて嬉しいな。
噂で聞いてたよりずっと優しいんだもん。
「笑ってないでこの途中の包帯をなんとかしろ」
「あぁ、ごめんなさい」
口調は荒いのに、今は不思議と怖くない。
2人きりのこの空間がとても心地が良い。
今度こそ、ちゃんとできる気がした。
巻きすぎた包帯は1度解いて、緩みが出ないよう今度こそ丁寧に巻いていく。
「はい、終わり!」
「遅い」
橘旭陽くんは、
クールで、毒舌で、無愛想。
良いのは顔だけ。
通称、観賞用の王子様。
誰も近づきたいなんて思わない。