水曜日の片想い
あまり名前で呼ばれたことがないからさらに不安だ。
一応名前は聞かれたし、覚えてくれてるよね?
橘くんいつも「キミ」って呼ぶんだもん。
たまに「瀬戸」って呼んではくれるけど、数えたらたぶん10回もないと思う。
いつか「日菜子」って呼んでほしいなぁ、なんて………。
「ふぅ……重かった」
くだらない妄想をしていたら、ようやくゴミ捨て場に着いた。
橘くんのことを考えるだけで幸せな気持ちになれる。
橘くんパワーは絶大だ。
なんだかんだ橘くんのことを考えてれば時間が経つのは早いし、ゴミ捨ても楽勝だったかな?
こんなに橘くんのこと考えてても、実際に会えるわけではないからちょっと虚しいけど。
あーあ。
今日は図書室に行っても会えないし、さっさと家に帰って本でも読もうっと。
実はあれから、橘くんに少しでも近づきたくて苦手な読書を始めた。
橘くんがいつも読んでるような難しい本は無理だけど、とりあえず簡単なものから。
最初は眠くなるし疲れるしで慣れるまでなかなか苦労したもんだ。