水曜日の片想い


「あたしの告白を断るなんてっ………帰るわ!」


「ちっ」と舌打ちをかましてから、

くるりと背を向けて山吹さんはさっさと居なくなってしまった。


残された橘くんも顔色ひとつ変えずにすぐどこかへ行ってしまう。



なっ、なんか………すごい覚めた空間だったような。


橘くんもポーカーフェイスも相変わらずだ。

あんな調子じゃ何を考えていたかなんて見当もつかない。


恋愛に興味がないってことなの?

誰とも付き合う気がないって、つまりイコールそういう意味とも考えられるよね?


昨日までの橘くんは「無理」と断るだけで、理由をちゃんと言ってはいなかった。



もしかしてわたしが言ったこと覚えてくれてたのかな?



ちょうど昨日「そりゃあ付き合えない理由を言うかな。その方が相手も納得してくれると思うし」と橘くんに言った。


この言葉が届いていたのなら、一応つじつまは合う。


橘くんは今まで何人の女の子に告白されたことがあるんだろう。


いくら冷たいクール男子でも、顔が良ければ寄ってくる女の子は数知れず。

ほんと、すごいなぁ。


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