水曜日の片想い
気づいてくれた王子様
近頃は本当に夏なの?と疑うくらい涼しい。
太陽の光も暖かいくらいで、過ごしやすい日が続いている。
まるで春に戻ったような気分。
ぼんやりしてるだけで無性に眠くなる日が多くなってきた。
橘くんと初めて一緒に帰ったあの日から、少しずつ距離が縮まったきがする。
例えば廊下ですれ違ったとき、
今まではわたしに気づきもしなかったのに最近はよく目が合う。
「おはよう」って言うと「おはよ」って小さな声でちゃんと返事を返してくれるの。
思わず叫びたくなるくらい最高に幸せだ。
こんなに幸せ者でいいのかな?
それに、今日は待ちに待った水曜日。
本を読む橘くんの邪魔はあまりできないけど、またいろいろ話せたらいいなぁ。
「あれれ〜、日菜子ったらさっきからにやにやしちゃってさ。何かいいことでもあった?」
「へ!?そっ、そんな顔してないよぉ」
橘くんのことを考えるだけで勝手に顔が緩んでしまうこの現象。
前の席に座る友達の華純(カスミ)が、こちらに体を向けただけですぐにバレてしまった。
なんで橘くんのこと考えるたび緩んじゃうのかなぁ?
橘くんの前ではこんな情けない顔したくないから、ちょっと顔に気合い入れておこう。