水曜日の片想い
「まさか日菜子忘れたの?」
「うっ、うん……」
「うっわぁ〜、どうすんの?先生忘れ物には超厳しいじゃん」
「どどとど、ど、どうしよう……」
さっきまで橘くんのことを考えて最高な幸せ気分だったのに、一瞬にしてどん底まで突き落とされた。
久しぶりに手汗の量がかなりやばい。
以前、忘れ物をした人が先生に酷く怒鳴られていたのを急に思い出してしまったから。
怖すぎて泣いた生徒が何人いることか。
わたしもついにその生徒たちに仲間入りするってこと……?
やだやだ、絶っっっ対にやだ!!!
話を聞いてなかったわたしが当然悪いんだけど、怒られるのはごめんだ。
「あ!たしか4組の人この前授業で使ってたから誰か持ってる人いるかもよ?」
「ききき聞いてくる!!!」
脳内で悲しんでいる場合じゃない。
ガタンッと椅子を引き、勢いよく教室を飛び出した。