水曜日の片想い


うっ………どうせなら泣く準備でもしておくか……。



「はぁ…」と深いため息を吐いたところで、自分の教室へと戻ろうと振り返ると、



「わっ!」


下を向いていたせいか誰かにぶつかってしまった。


ううっ、さらに情けない。

せっかくの水曜日だっていうのにツイてないや。



「ご、ごめんなさーーー」


謝ろうと、顔を上げたらびっくりして呼吸が止まりそうになった。


だって……。


「た、橘くん!?」



目の前に居たのは“あの”橘くんだったから。


相変わらず今日も不機嫌そうな顔を浮かべている。


わたしがぶつかったせいで、普通に不機嫌なだけかもしれないけど。


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