水曜日の片想い


怒ってるかもだけど、こんなところで橘くんに会えるなんてラッキー。


………って、違う!!



「えっと……あの………ちゃんと前見てなくてごめんなさい」


少しは慣れたと思ったけど、急に橘くんに会うとまだ緊張してしまう。


びっくりして息も止まるくらいだ。


だって普通こんなタイミングよく会えるなんて思わないもん。



「…………ほら」


「へ?」



何も言ってこないなと思っていたら、


「こ、これ……英和辞典………?」


橘旭陽と名前が書かれた英和辞典を突然目の前に差し出された。


「使えよ」


「な、なんで………?」


あっ、

そういえば橘くんのクラスは4組だ。


教室を覗いたとき、席に座っていなかったからすっかり抜け落ちてしまっていた。


いやいやそんなことよりもこの英和辞典だよ。

橘くんには声掛けてないはずなのに、どうしてわたしが忘れてきたこと知ってるんだろう。


もしかしてエスパー?


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