嘘つきな唇
灰皿の上で煙草をもみ消して
パジャマの上にカーディガンを羽織ってベランダに出ると
火照った体を秋風がなぞっていく。
大雅を好きだけど
本当の恋人に戻れないなら
早く
諦めたい。
そんな気持ちもあった。
浮気相手という虚しい肩書き。
公にされない立場。
確かに
別れて数ヶ月後、自分の荷物を引き取りに戻ってきた大雅と再開した時
繋がりを断ちたくなくて一番じゃなくてもいい。
都合の良い女でもいい。って…。
彼の背中に抱きついたのは私だ。
けれどそれは
本音のようで本音じゃない。
もう一度関係をもてば
いつかまた、寄りを戻せるかもしれないという甘い考えがあったんだ…。