逸れ者ははじめから
橘 正は、同じクラスメートで何事も一人でこなせるタイプだった。
他のクラスメートとは関わりもせず、まさに俺と同じ。
容姿はとても綺麗な黒髪でまるで人形のように可愛らしくはあるが、
人を寄せ付けないようなオーラを放っていた…

イケイケな奴も苦手だが、こんなタイプも苦手なんだよな…
クラスに一人はいるだろう?一人が楽しいタイプ。
まぁ俺自身もその分類だが…
初めて見た時から同じ匂いがしていたのは、薄々気付いていた。
だが、干渉する事が嫌いな俺は話し掛ける事すらしなかった。
そう。こんな性格からか彼女も友達もいない歴は=年齢なんだ。
逆に一人が気楽な領域に達していると思ってる。

そんな俺が、とっさの事で1から10まで理解しないままに返事をしてしまった。
ホームルームが終わると正は俺に近付き
『携帯の番号を教えて。』と話し掛けきた。
正の顔は、嬉しそうに微笑んでいた。こんな橘を初めて見た。
俺は、おもむろにノートの切れ端に番号を書き込み
正に渡した。正は、誕生日のプレゼントをもらったかのように喜んでいた。
『すぐに登録するね♪』
『わかった。』
正は、嬉しいそうに笑顔のまま席に座った。
俺も理解出来ないまま、いつの間にか笑顔になった。

『キーンコーンカーンコーン…』

呼令が鳴り響き、
俺は古文の教本を机に並べ『さて、頑張ろう』と意気込み
先生を待っていた。
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