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「あの~。ど~したんですか?」

慶大はその人に優しく話しかけた。


「えっ!!」

その人は驚いて俺たちの顔を見つめた。

「いやぁ~。何か泣いてるんで、どうしたのかな~と思いまして。」

慶大がめったに使わない敬語で話している。


「いや。だ、大丈夫です。」

女の人は不思議そうに言い返した。


すると、女の人の目から大粒の涙が溢れ出してきた。

「あっ!すいません。本当、何でもないんで、それじゃ。」

女の人はそう言うと、無理矢理作った笑顔でその場から走って行ってしまった。

「あっ!行っちゃった。」

慶大は残念そうな顔をして言った。


『つかさ~。何で急に声かけたわけ?いつもなら、泣いてる人がいようが無視して素通りするくせに。』

俺は疑いの目で聞いた。

「俺も、わかんねぇ。何かめっちゃ気になったから・・・」

そう言って慶大は、スタスタと先に歩き出した。

『おい。待てよ。』

俺は慌てて追いかけた。


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