元姫と元王子の約束



『ユリの血、
吸いつくしてやる────』



そう言って私の肩に手を乗せた父上は
生まれてきてから
一番近い位置にいた瞬間だったが、


牙を(きば)出しながら
首元の大動脈を噛み切って
治さずにそのまま全部飲み干してから
魔力を蓄えよう(たくわえよう)
とする父上に今まで感じたことのない
恐怖を覚えて……



『来ないで!!』

そう言うと同時に
私から吹き出した魔力の結晶は、
ちょうど城にいた人達の腹に
直撃をしてしまった。


────ユアが乗っていた籠(かご)は
低ったからユアは無傷だった。


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