君のために
第一章
寂しい少年の日常
「あー…だりぃ」
のどかな太陽、と
世間は形容するのだろうか。
春の生ぬるい風と陽射しは、
どうも苛立つ。
俺としては、蝉が鳴き喚く夏の方が
いっそ清々しいと思う。
「あ〜サボり発見❤︎」
「ほんとだぁ慧人ぉー!
ねぇ今日ヒマ?」
無駄にでかい声、粘ついた口調。
濃い化粧をした女子数人が、
一限目から抜け出している俺を見つけて
駆け寄ってくる。
「あーまぁ、暇だな」
「まじで♪
んじゃウチらと遊ぼー」
「そうだな、どっか行くか」
ていうか…こいつ誰だっけ。
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