君のために
一人ぼっちの少女の日常
「ーーできたっ!」
玉止めの糸をハサミでチョキンと切り、
ばさっと今まで縫っていた布を広げる。
「結構、上手くできたよね…エプロン。
お母さん、喜んでくれたらいいな」
誰に対して言ったでもないその呟きは、
白く狭いこの部屋に無機質に響いた。
「笹本さーん、お薬の時間ですよー」
「あっ、はい」
ゆっくりとベッドから立ち上がり、
看護婦さんのところへ向かう。
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