右肩の蝶、飛んだ。
「朝ごはんを集りに来るような女が結婚ねえ。直臣は食べず嫌い多いし、貴方達がご飯を家で食べている図が全く浮かばないわ」
「直臣さんの家、最初まな板無かったもん」
「貴方、料理は?」
「生きていく最低ラインぐらいは作れるけど」
味いまいち、値段安く見た目酷い。冷蔵庫に残った中途半端な野菜で鍋を食べるとか。
「あのねえ、貴方って本当にもうっ」
「結婚って楽しいかな。今の生活に華が生まれちゃう? 今より幸せになれるって保証があるから結婚するの?」
パンの上のバターを見つめる。パンの温かさで溶けていき、流れて耳の部分で止まると染み込んでいく。
見えない幸せは、バターの様に噛みしめると溢れてきてくれるのかな。