右肩の蝶、飛んだ。
注文が減ってからも、体系が変わってから着れなくなった服やドレスの補正、敗れたり汚れのついた服の修復などでぼそぼそとなんとかアトリエは繋いでいた。
そして久しぶりの女優の新作ウエディングドレス。
なのに。
「……旦那と離婚調停中の女優のデザインとか縁起悪くて売れないよね」
「直臣さんっ」
うううう。全盛期の三分の一ぐらいの注文だった。全然、駄目。
「でも大分でホテルを四つも経営している高山グループがホテルウエディングを始めるなんて本当に運命みたいだよねー」
のんびりと直臣さんは言うけれど、全然運命じゃない。
電話では断られたんだから。そんなに自信があるならば、会って話したしたいと、半ば呆れられての訪問だ。
でも四つの新しい結婚式場で使って頂けるならば、それはそれで私たちも今の状況を打破できる。