右肩の蝶、飛んだ。

こんな頭でっちな女には、確かに言葉は距離を置くだけの道具でしかないのかもしれない。

足元に落ちて行く食べかけのハンバーガーが、トラウマじゃなかったのかよ、と笑えた。

笑わないつもりだったのに、空腹を満たしたかったわけじゃない彼は、そのまま私を引き寄せて、シートを倒した。



蝶矢に上に乗られるのは、頬に傷を付けられそうになったあの夜以来だ。


彼はトラウマを払拭したいんじゃない。

私を仕事を盾に脅してまで傍に居たいんではない。


羽をもぎ取ろうとして躊躇して出来なかったあの日。


逃げた私を捉えて、逃げられないようにきっと奪いたいんだ。


その証拠に、足の間に太股が侵入し足を開かされる。

何度も角度を変えて荒々しくする口づけに、ルージュはきっと消えてしまった。


女にされた身体はきっと、貫かれたら破れ血が出るかもしれない。

26にもなって思考は捻くれ汚れても綺麗な身体を、蝶矢は奪ってしまいたいんだ。
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