右肩の蝶、飛んだ。

店長はわざわざ私に黒のガーターベルトを渡す為に仕事場まで来たけれど居らず、家まで行ったけれど居らず、電話を掛けたら義弟とベットで一夜を過ごしていると気づき興奮して朝一で図書館に行ったらしい。
相変わらずチャらい見た目で図書館なんて似合わないどころか場所なんて知らなさそうなのに。


「血は繋がっていないんだから、そもそも違うわよ、それ」

「血は繋がっていないって、じゃあ別に恋愛対象に入れてもなんら問題が無いのよね。雇われ社長で女好きの直臣よりも、一途で自分に執着がある子って良いわよ。きっと浮気なんてしないぐらい毎晩離してくれないわよ」
「そう言う話、止めて。蝶矢となんて考えたことも、想像もしたくないんだからさ」
「えー。でもさ、直臣って優しいだけじゃない? たまには乱暴に抱かれるのも刺激にならない? あ、ごめん。たまにはって貴方、処女だったわよね」

ぷぷっと鼻で笑う店長が本気でムカつく。殺意と言うのは簡単に湧きあがってくる。

「最初の相手はとういうか、生涯一人で良いですけど」
「そうね。その歳から遊び始めたら行き遅れ確実だしね」
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