花火
もう、何時間ここでこうしているのだろう。
泣きやんだ私に悠樹はなにをするわけでもなく
ただ一緒にいてくれた。
「夏希…」
「ごめんね」
「俺さ昨日」
聞きたくと思った。
涼と夏希が付きあってるなんて、聞いたら
きっと私は泣いてしまう。
「言わなくてもいいよ、わかってるから」
なに言ってるんだ自分
何をわかってるの、なにも分かってないよ
ほんとは知りたいけど知りたくない気持ちもあって
聞くのが恐いんだ
「聞けよ、大事な話だから」
大事な話…
聞きたくないよ、私絶対泣いてしまう。
「北沢に告白されたんだ」
ほらね、やっぱり。
もう、これ以上聞きたくないよ。
「もう、いいよ、ごめんね、ありがとう」
笑えたかな
ごめんねいっぱい迷惑かけて
相談のってくれたり泣いてたら慰めてくれて
ありがとね。
これからはそれを涼にしてあげるんだよね。
「幸せになってね」
そう言って
私は屋上から教室に向かった。