花火
気づいてなかったと言えば嘘になる。
「協力してくれない?夏希」
協力、協力なんて、できるわけない
私だって悠樹が好きって言いたい。
「うん、協力、するよ」
言えるわけないよね
何年も胸の中にしまってきた思い。
それから涼は私に協力してもらえると思ったからかテンションがあがり悠樹のどこが好きとかそんなことをずっと言ってた。
午後の長い授業を終え、家に帰る。
部屋に入った瞬間涙がでた。
私は涼にひどいことをしてる。
正直に言えばよかった、私も好きと
時間は戻らない。やってしまったことはしかたない。
涼に協力するといってしまった私。
ごめんね、涼。
私、ちゃんと協力できるかな。
その日は夜ご飯なんて喉をとおらない。
何かを失った感覚。
おばあちゃんの時と同じだ。
部屋でまた私は泣く。
おばあちゃんのこと思って、
涼に嘘ついてしまったことを思って
悠樹を好きと言えなかったことに後悔しながら
大泣きした。