【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。



途端、ざわめいていた空気が一瞬で変わる。




あたりはしーんと静まり


重い空気が漂った。







「挑戦者、1年Aクラス 水瀬莉衣〈みずせ りい〉。

代表者、指名。1年Sクラス 牧夏瑠璃〈まきなつ るり〉。


競技場のシールドに入ってください。」






審判のことばにあたりがざわめく。





「「瑠璃さまー。」」




叫ばれた言葉に余裕そうに手を上げる牧夏さんに、


リリーちゃんが言っていたお嬢様気質というのが、

少し、わかる気がした。






………というか、リリーちゃんって莉衣って名前だったんだね。


知らなかったよ。


今まで堂々とリリーのほうを名乗っていたし、

テスト用紙にも正式な書類にも水瀬リリーって書いてあったから

それが本名だって心の底から信じてたよ。

むしろもう、潔いいね。

いいと思うよ。うん。








なんて、私が思っているうちに、




競技場の真ん中にさらに張られた丸いドーム型のシールドの中に

牧夏さんとリリーちゃんが入っていく。






牧夏さんは、驚くほど堂々としていて、


リリーちゃんの赤毛を流し目でいちべつし、

この子に負けるわけがない、



って、思っているのがひしひしと伝わってくる。





牧夏さんのいえは元貴族らしく、その証である栗色の髪は






しなやかになびいていた………―





< 164 / 254 >

この作品をシェア

pagetop