【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。






「はいはい。おふたりさん、いちゃつくのはそこまでだぞ。

いっちゃんが困ってる。」




「い、いちゃついてないっ!


……………いっちゃん?」







頭に?をいっぱい浮かべながらリリーちゃんの視線の先を追うと


リビングのドアから所在なさげに立っているひとりの男の人がいた。





「いっちゃん、もう入って大丈夫だぞ?」







からかうようなリリーちゃんの声に促されて、その人はリビングに入ってきた。













………かわいい。


目はくりんとしていて


背はリリーちゃんより少し高いくらい。




なんというか、すごく、かわいい人だ。




「いっちゃんも今日からStarsなんだ。」



リリーちゃんがにこにことそういう。








………あれ、Starsって3人じゃないの?




「Starsに実は人数の規定はないんだ。




………まぁ、魔法実戦で負けたら降りるけど。

それに秋雨くんと黒羽のやつが転校してくるまでは

Starsは牧夏瑠璃と3年の先輩のふたりだったんだぞ?」









へぇ………そうだったんだ。





「じゃあ、顔合わせに自己紹介な。


まずあたし。

1年の水瀬 リリー。」







………相変わらず、“莉衣”とは名乗らないのね。





次、言って。とリリーちゃんに目で訴えられて私は口を開く






「あ、1年の芹沢 優菜です。」





「1年。秋雨 聖。」




「……あ、えと。

2年の青里 一希〈あきさと いつき〉です。」




えっ、先輩だったの?!





かわいいし、リリーちゃんがいっちゃんなんて呼んでるから、


同級生だと思ってたよ………。




危ない危ない。


知らなかったら普通に便乗して“いっちゃん”って読んじゃうとこだった。






「あれ?でもなんで、リリーちゃんはいっちゃん先輩のこと………。」


「あぁ、いっちゃんは兄貴の友達なんだ。」





あ、なるほどー。



「これから、よろしくね。」




そう言って爽やかに笑ったいっちゃん先輩に


リリーちゃんが顔をそらした理由は








すぐに、わかることになる………―





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