【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。
2*『恋に、落ちちゃいましたね。』
「芹沢ちゃん……」
その日の夜、部屋に戻ったはずのリリーちゃんが私の部屋のドアを叩いた。
妙にしおらしい口調に心配してドアを開けると
真っ赤な顔のリリーちゃんがいた。
「え…っ!ちょ、どうしたの?!風邪?」
慌てる私に
「違う!風邪はひいてない!」
と、冷えピタを取り出しかけた私の手を制した。
「じゃあ、どうしたの?」
「いっちゃんが………」
「いっちゃん先輩が………?」
「『おやすみ、莉衣ちゃん。』って………。」
「…………はい?」
え、ごめん。よく意味がわからない。
「だからっ!いっちゃんが………あーもーー!」
なんかよく分からないけど、自爆した。
目の前で沈没しているリリーちゃんの顔は
すっごい真っ赤っかだ。
…………ん?
……………真っ赤っか?
「落ちちゃいましたね、リリー殿。」
「…………はい?」
「恋に、落ちちゃいましたね。」
いつもの仕返しとばかりににやにやとそう言ってみせると
「………っ、うっさい。ばかっ。おやすみっ!」
とリリーちゃんは逃げていってしまった。
………なに、あのかわいい物体。
あれが、いつもは男勝りなリリーちゃん?
「ギャップ…っ!ギャップやばいでしょ!」
しばらく私がその場で叫んだことは言うまでもない。