【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。
私の部屋と同じく白を貴重としたその部屋は
男の子らしいシンプルなものが置いてあった。
聖らしいといえば聖らしい。
無駄なものが何一つない綺麗な部屋。
………でも、なんで私を聖の部屋に連れてきたんだろ?
「これ、優菜に。」
そう言って聖が私に渡してきたのは
黒い綺麗な一眼レフカメラだった。
「え………なんで、これを?」
見るからに高そうなそのカメラは年季が入っていて、
簡単に手に入るようなものではなさそうだ。
「前に優菜にって預かってた。」
それ以上の追求を拒否するように聖はそういった。
―カシャッ
焦点と絞りを調整すると
いい音がして写真が撮れた。
このカメラの一枚目は、
聖のちょっとびっくりしたような顔の写真。
私は、なんだか嬉しくなってふふっと笑うと
「ありがとう。聖。」
満面の笑みでそう言って聖の部屋を出ようとした。
「また、明日な。」
後ろからそんな声が聞こえたかと思うと
くしゃくしゃっと聖は私の髪をなでた。
「うん。また明日。」
明日も、また、会えるんだ。
ただ、それだけのことが私にはものすごく嬉しくて
それだけでずっと笑顔でいられそうだった。