【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。
1*『夏祭りと淡い記憶』
そんな日々が豹変したのは………
「芹沢ちゃん!夏祭りに行こう!」
そう、この日からだった。
「…………夏祭り?」
「そうだ。あたしと、一希と、芹沢ちゃんと、秋雨くんで。夏祭り行こう。」
そういいながら、リリーちゃんは夏祭りのポスターを掲げている。
「えー、リリーちゃんといっちゃん先輩とで行ってきなよー。」
ふたりの甘い空気に晒されるのも、嫌だし………
―――聖を、呼ぶなんてできないし。
「だめ。あたしひとりで一希呼ぶなんて、恥ずかしすぎて、できない!」
「いいじゃん。付き合ってるんだから。」
「芹沢ちゃんは、聖とお祭り、行きたくないのかよ。」
「それは…………」
行きたい……けど…………。
「じゃあ、決定な。明日だぞ?
ちゃんと秋雨くんも呼んどけよー?」
無理だよー…………
なんて、言葉もむなしくリリーちゃんは去っていってしまった。
聖…呼びますか………。
コンコンッ
聖の部屋のドアを軽く叩く。
「あれ?優菜、どうした?」
「えっと………あの…………」
なかなか言い出せずにもじもじしてる私を聖が不思議そうに見つめる。
あれから、伸ばしていた前髪を切った聖は
琥珀色の切れ長な瞳が顕になって
よりイケメンに…………
じゃなくて!!
「明日!夏祭り!行く!」
そう、単語だけ並び立てると私は走って逃げていった。
はぁぁ………緊張したぁ………。
これで、通じたのかはわからないけど、とにかく一件落着………だよね?
そう思って私は肩をおろした。