【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。







˳

˚




『優菜。これ、綺麗だよ。』


『わぁ。ほんとだぁ。』





―パシャッ




『優菜は、ほんとに写真が好きだね。』


『うん。大好き!ホシも写真撮ろうよ!』




˳

˚








そうだ。




私の、大切な幼なじみは



“ホシ”は、聖だ。







「ホシ………。」






私がそう、つぶやくと、聖の目が驚いたように大きく開く。




それと同時に………





˳

˚




『優菜、これがペルセウス座だよ。』






幼い私に星を語る

あの優しい声が蘇った。






『ペルセウス座のいちばん光るは、アルゴル。

悪魔って意味なんだ。



でも、ペルセウスは悪魔を持っているけど、すごく、優しくて勇敢な男の人なんだよ。





ほら、隣を見てご覧?



隣にあるのはアンドロメダ座。


女の人の星だよ。


ペルセウスは、アンドロメダのことを守ってくれるんだ。』




『守ってくれるの………?』



『うん。そうだよ。なにがあっても、生命をかけても守ってくれるんだ。』



『へぇー。ペルセウスって王子様みたいだね。』




『そうだね。じゃあ、アンドロメダはお姫様だ。

ね、小さな姫君?』





そう言ってお父さんは、私の手を優しくとった。






『これはね、お父さんの大事なカメラなんだ。』


『これってキンモクセイ?』


『そうだよ。このカメラの名前はキンモクセイ。

これは、お父さんにとって、優菜と同じくらい大切なものなんだ。

だから、優菜が大きくなったら、優菜にあげる。』


『わぁい。ありがとう。』





『だから、優菜も星やカメラの映し出す、儚い美しさを大切にするんだよ………―』




˳

˚




そうだ。


このカメラは



キンモクセイは………















お父さんのカメラだった。





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