【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。
3*『優菜へ。』
あれから、数日がたった。
私は、相変わらず自分の部屋で涙をこぼしていた。
―ふわり
開け放した窓から金木犀の香りが漂う。
また、秋が来る。
秋の香りを運んでくる風に身を任せて、
そっと目を閉じる。
―『優菜』
その時、あまりにも懐かしい、お母さんの声がした気がした。
驚いて周りを見渡すも、
なにも、誰も
見当たらない。
私は気のせいかな、とため息をつくと
久しぶりにそっと、自分の部屋の扉を開けた。