【完】何度でも、キミの瞳に恋をする。
そのぬいぐるみは
ロップイヤーのようなふわふわボディーに
愛らしいまんまるの瞳。
耳に結いつけた桃色の小さな花冠は秋桜で。
背中には蝶々のような
透き通った虹色の羽がついている。
かわいい。
………妖精のぬいぐるみ?
そう思って手を伸ばすと
『優菜さん!起きたのですね!』
聞きなれない声が耳をなぞった。
わたあめのような
甘くてやわらかい声。
驚いてきょろきょろと周りを見渡すも私の他には誰もいない。
そう、
…………見慣れないぬいぐるみ以外は。
まさか、まさかね。
そんなわけ絶対にないけど……
「ぬいぐるみさん、喋りましたか…?」
あぁ。
なんて、何言ってるんだろう私。
そんなことあるわけないじゃん。
きっと、疲れているんだ。
久しぶりに夢なんてみたから。
小さい頃のおとぎ話じゃあるまいし…
“魔法”なんて、あるわけない。