その嘘に踊れ
紅
『今夜は花火大会でショー?』
『オタくんの話によると、屋上に登れば見えるらしいのよ』
『ホラ、あのコ、あのマンション一番長いじゃない?』
『一緒に見ましょうよ、ビールとおつまみ持ってって』
『まぁアンタは、花火より浴衣の透子ちゃんをガン見してそうだケドー』
…
そうなるだろネ、うん。
見たい。
でも…
見たいンだって。
でもでも…
あぁ、なんて不毛な堂々巡り。
夜までそんなに時間はないのに。
よし、前向きに考えよう。
彼女を外に出すワケじゃない。
ちょっと屋上に登るだけだ。
そうだ、行こう。
てか見よう。
…
でもでもでも…
いやいや、待てよ?
別に花火なんてなくたってブツブツブツブツ…
「アオ」
「しーちゃんがコレを着てくれさえすれば、俺的にはブツブツブツブツ…」
「ねェ、アオ」
「ふぇっ!?
ナニっ ナニナニ!?」
あーあ、突然呼ばれて変な声出ちゃったよ。