その嘘に踊れ
「あのー…
あの日以来、書き込みが途絶えて…
アイツ、なんか消えたンですよね…」
「そう」
「掲示板の一般ユーザーには、IDからIPアドレスの割り出しなんて、出来ませんよね…?」
「あぁ」
「アイツがドコのダレだったかなんて、誰にもわかりませんよね…?」
「あぁ」
「アオさんは…
ナニも知りませんよ…ね?」
「あぁ。
…
業者にでも駆除されたンだろ、害虫だし」
「は?」
低い声で囁かれたアオの最後の言葉は、オタくんの耳には届かなかったようだ。
目を瞬かせるオタくんを振り返ることもなく、アオは去っていく。
入れ替わりにゴミ集積所にやって来たデイジーとは、目も合わさずに去っていく。
「ナニアレ?コワーい」
オタくんの隣まで来たデイジーは、アオの後ろ姿を見つめたまま身を縮めた。
「コワい?」
「なんか、とっても凶悪な顔で笑ってたわよ。
昨夜の記憶が曖昧なンだケド、アタシなんかしたかしら?」
あー… 君のせいじゃないよ、デイジーくん。