その嘘に踊れ
事故
予想は大ハズレ。
待っているのは、アイツらの誰かだと思っていたのに…
いつもの、マンションの最寄り駅から二駅離れたパチンコ店。
いつもの、金牙狼台の前。
いつもの、睫毛バっサバサのコーヒーレディにメニューを押しつけられているのは、いつもの、営業をサボった風ビジネスマン。
どゆコト?
画像を送ったのは彼なの?
なら、状況は予想よりも悪くないのだろうか。
「あの画像はおまえが撮ったのか?
なんの真似だ?」
いつものようにビジネスマンの隣に座ったアオは、いつもの素っ気ない口調で低く訊ねた。
やっぱりひとりごとみたい。
「『なんの真似だ』はコッチのセリフだ。
おまえ…
本当にヤってなかったンだな…」
返ってきた非難めいた言葉も、やっぱりひとりごとみたい。
溜め息を一つ吐いたビジネスマンは、事務的な口調に戻ってひとりごとを続ける。
「先日、独自のルートであの画像を入手したクライアントが、契約不履行を訴えて前金の返還と多額の違約金の支払いを求めてきた。
金はともかく、信用を失うのは痛手だ。
すぐに申し開きの場を設けるコトを要請し、クライアントはそれを受け入れた」
あ、そう。
やっば、しーちゃんが生きてるコトがアイツらにもクライアントにもバレてたわ。
やっば、クライアントにあの画像をリークした『何者か』も存在したわ。
やっば、予想通りの悪い状況デシタワー。