その嘘に踊れ
偶然
ビジネスマンは言った。
『ココを出ても油断するなよ』と。
パチンコ店を出たアオは、人通りが多い商店街を見回した。
ドコから来る?
ダレが来る?
アイツら自身がもう日本に入国しているのだから、狙撃の可能性だってある。
商店街の中を行けば、買い物客という盾が身を守ってくれるが…
(とばっちり食らわすワケにはいかねェしなぁ…)
銀の髪を掻き上げて小さく舌打ちしてから、アオは大通りに抜ける路地へと向かった。
さて。
どうやってアイツらを撒くか。
電車は…
商店街と同じく、とばっちり犠牲者が出そうだし。
タクシーも…
運転手が真っ先にヤられそうだし。
路駐してある車を勝手に拝借するのが、一番無難カナ。
足を止めて路地の塀に背をつけ、大通りの様子を確認する。
片側二車線の道路を絶え間なく行き交う車と、脇に寄せて点々と駐車してある車。
イイ感じ。
歩道を歩く人も、商店街と比べるとやはり圧倒的に少ない。
イイ感じ…
…
ん?
(どうして…)
歩道上に見知った顔を発見したアオは、驚きに顔を引きつらせた。