その嘘に踊れ
「オメェ…来なかったらどーなるかわかってンだろぉなぁぁぁ…」
『え… な…ななな…』
「慣らしてない穴に、ぶっっっとい肉棒」
『アッ─────!!
行きますっ!今すぐっ!喜んでっっっ!!』
断末魔のような絶叫と共に、通話は終わった。
あぁ…
オタくん、ほんとご愁傷サマ…
コロっと態度を変えて、
『よかった、来てくれるって!
オタくんって、ほんとイイコよねっ☆』
なんて笑顔を振りまく恐ろしい生き物(確実に♂)から目を逸らし、アオは思う。
やっぱアイツもナイな、と。
謎の『何者か』とか、あり得ねェな、と。
だって『エロ同人』とか言われて、否定しなかったもん。
オタクを貫いて、エロ同人まで作っちゃう自由人だもん。
そしてその十数分後、アオの思いは確信に変わる。
駅に迎えに来たオタくんが、緑の髪をツインテにしてインカムつけた女のコを、デカデカと塗装した黒いワゴン車に乗っていたから。
「痛車…」
隣に立つデイジーが、震える声で呟いた。
うん、コレはコレでコワいよね。
自由にもほどだよね。
唇を歪めて苦笑したアオは、運転席のパワーウインドウが下りていく痛車に歩み寄った。
いつものジャージ姿で顔を出したオタくんの第一声は…
「え… 誰かのお葬式?
ご愁傷サマです」