その嘘に踊れ

アオがアイスブルーの瞳で鋭く睨みつけると、ピっと背筋を伸ばしたシズクが条件反射のようにコクコクと頷く。

可愛いな。

いつもは優しい近所のオバサンに初めて叱られて、ビックリしちゃった子供みたいだ。

こんな彼女が、本当にそうなのか?

芸術的なまでの手腕で狙撃者と追跡者を殺し、俺を守った『凄腕』なのか?

いや、信じ難いがそれは事実。

その証拠に、彼女は…


「あ、アオ。
そのライフル、照準まで持ち主仕様にカスタムしてあるみたい。
クセが強くて狙いをつけにくいから、気をつけて」


なんて、玄人臭いコトをサラっと言った。


「…
そのわりに、ちゃんと当たってましたケド。
イイ腕デスネ」


「フフ、褒められた」


褒めてねェェェェェ!?

スコープから目を離したアオが、不満も露わに唇を尖らせてシズクを見上げるが…

ナニ嬉しそうに笑ってやがンだ!?

クっソ可愛いな!?


「アオも、ね?
私が初弾を撃ってからの狙撃ポイントの見極めと、反射速度は悪くなかった。
その前のブラフもなかなかだった。
車が突っ込んできてからは、完全に素に戻ってて面白かったケド」


おっと?

コッチも褒められちゃったか?

意図せず、アオの口元もヘラっと緩むが…

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