その嘘に踊れ

ひとまず対物ライフルの危機は去ったが…

撃てば撃つほど、この狙撃ポイントはアイツらに知られる。

知られれば、狙い撃ちにされる。

狙い撃ちにされれば、袋の鼠。


「ね、しーちゃん。
移動しないと」


頬を引き締めたアオは、今度はシグブレイザーから手を離さずにチラリとシズクを見た。

その視線の先の彼女は…

もう家庭用ゲーム機風コントローラーは床に置いていて。

明かり取りの窓を、肘で叩き割っていて。

ナニカの上に被せてあった、汚れた布を取り払っていて…


「わかってる。
マシンガンは適当に固定したから、そろそろ派手に撃って下の奴らをココに誘導して」


同じくチラリとアオを見てそう言ったシズクは、布に隠れていた細い筒状のモノを肩に担ぎ、割った窓から外に向けてブっ放した。



ソレ、なぁに?

筒からはビョーンとワイヤーが伸びている。
飛んでったその先端は、壊れているとはいえ安定感抜群そうなダンプのボディに突き刺さっている。

ハイ。

どー見てもアンカーランチャーです。
本当にありがとうござ(ry

ナニ?

脱出方法も準備済みってか?
何もかも計算通りってか?

もう驚かねェゾ。

一連の流れが全部彼女の仕込みデシタ、なんて言われたところで驚かねェゾ、コラァ!!

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