その嘘に踊れ

歴史のお勉強は…

皆さま、もうお済みでしょう。
ソーデショウ。

私も、元工作員が作ったある組織に飼われていた『Unnamed Children』の一人…ではない。

正確には。

なぜなら私は、組織の気まぐれの産物だから。

基本組織が、6歳未満の乳幼児を拐うことはない。
感染症などによる死亡率が高く、手間がかかるからだ。

だがここに、一つの気まぐれが生じた。

たまたま拾ってしまったのか、それとも組織の女性工作員が密かに産み落としたのか…

出自のはっきりしない、まだ寝返りすら打てない赤ん坊を、彼らは育て始めたのだ。

同じ年頃の子が母親の乳房に吸いついている頃。

赤ん坊は耐性をつけるために、様々な薬品や毒物を毎日少しづつ摂取していた。

同じ年頃の子がスプーンを握り、テーブルを食べこぼしでグチャグチャにしている頃。

赤ん坊はフォークで人の目玉を抉り取っていた。

同じ年頃の子が積み木で不格好な城を作っている頃。

赤ん坊はハイスピードで銃を解体し、また組み立てていた。

完璧な体術、殺人術を身につけ。

完璧な銃器、薬物、爆発物の知識を身につけ。

スムーズな潜入に必要な様々な主要言語の他、モンゴロイドだったため特にアジア諸国の言葉・文化・マナーを完璧に身につけ…

そして数年の月日を経て出来上がったのが、工作員の粋の結晶。

他の『Unnamed Children』とは違って人であったことのない、少女の姿をした完璧な殺戮マシーン。

それが『ro9u-E』。
それが私。

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