その嘘に踊れ
まぁそれでも、あんまりお願いするから、奥歯に骨伝導式通信機をつけるコトは承諾した。
通信感度が良好なエリアに、別人として潜伏したいという申し出も受け入れた。
まさか隣と階下でビッチリ包囲されるとは思ってなかったケドさ。
予想通り、登場人物が入り乱れてきやがった。
だがそれは、私サイドの話だけではなかった。
デイジーとオタの報告によると、アオは頻繁に特定の男とコンタクトを取っていた。
そして私の周囲、特に父親(仮)である黒木を嗅ぎ回っていた。
その男、ダレ?
てか、黒木になんの用?
予想外の方向に入り乱れすぎていて、ワケがわからない。
いつだってアオはナニも話してくれない。
いつだってアオは嘘ばかり。
深い事情を抱えているようなのに。
自らの生に罪を感じているようなのに。
零れそうな涙を、堪えているようなのに…
ほんとムカつく。
舌抜かれて死ねばいいのにってか、いっそ私が抜いてやろうか、コノヤロー。
イイよ。
ソッチがその気なら。
その嘘、まるっと暴いてやろうじゃねェか。
業を煮やした私は、デイジーにアオの身元調査を依頼した。
結果は…
『Unnamed Children』
そう…
私を守るって言ったコトだけは、嘘じゃなかったンだね。
私を誘拐したのも、私の髪を切ったのも、私を監禁し続けるのも…
全部全部、アオの組織の殺害対象となった私を、守るためだったンだね。