その嘘に踊れ

この私をハメようなんざイイ度胸だな、貴様。

だが、許してやろう。
むしろ感謝してやろう。

おまけに、その目論見にハメられてやろう。

再びアオに会えたのだから。

アオを繋ぐ『Unnamed Children』という名の重い鎖を、私のこの手で断ち切る機会を与えてくれたのだから。

私が憧れた『ただ球体になっただけの不純物を多く含む水を綺麗だと思える世界』は、ココではなかった。

屍の上に成り立つ生に苦悩しながらも人であることを捨てなかった、強く清らかな魂を持つアオの瞳だけに映る世界だった。

なら、もうこの世界に未練はない。
もう人間として生きることにも未練はない。

もう迷わない。

私は、死が充満する私の世界に戻ろう。
殺戮マシーンに戻ろう。

大好きなアオ。

あなたが私に綺麗な名前をくれたから。

私はあなたに自由をあげる。

私にはその力がある。

長く閉じ込めていたはずのその力は、鈍るコトも錆びつくコトもなく、ギラギラと凶々しい光を放って私の体内に満ちた。

手足を動かすように銃器を扱い。
息をするように人を殺め。

昔のように‥‥‥

なのに、ね?

『危ないコトはしなくてイイ』だって。
小さな擦り傷を見て、涙目で『痛かったでショ?』だって。

私は兵器。
痛みなんて知らない、命を奪うだけの存在。

そうでショ?

私は…

私は…

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