その嘘に踊れ
あれ?
なんか違くない?
顔は変わってないケド。
声も変わってないケド。
口調と態度が、全然違くない???
「…
しーちゃんて…
ゴロゴロ転がって寛いだりするンだ?」
パチパチと目を瞬かせて、アオは透子を見下ろした。
まぁ、そーなるわな。
揃えた膝に両手を乗せて背筋を伸ばしていたさっきまでの様子と、ベッドからはみ出した足をプランプランさせて転がる今の様子とは、全くの別物だ。
「自宅だと思えって言ったから。
自分チでゴロゴロしない人なんている?
お腹すいた」
「や… なんつーか…
しーちゃんは、普段からお行儀のいい敬語キャラになっちゃったのかと思ってた…」
「そんなバカな。
家でまで大人しくお利口さんしてるなんて、息が詰まる。
お腹すいた」
えと…
コレが素の彼女ってコト?
一気に砕けたな。
てか、なんか幼くなったな。
自分を拐った男の前で、手錠に繋がれたままベッドに寝転がるなんて、無防備にも程がある。
華奢すぎる肢体と相まって、まだ世間を知らない子供のように見える。
「ねェ、アオ。
お腹すいた」
自分の欲望に忠実なトコロも、まるで子供…